Google Pixel スマホの​カメラバー、​この​特徴的な​デザインの​誕生まで
Google のデザインチームとエンジニアリングチームは、Google Pixel の象徴となったカメラバーの開発に向けて奮闘しました。
*本記事は、​米 Google の​ The Keyword ブログの​記事を​日本向けに​翻訳、​編集した​ものです。
特徴的な​カメラバー、​初登場は​ Google Pixel 6

2021 年、​Google は​ Google Pixel 6 / 6 Pro を​発表し、​劇的に​改良した​カメラが​デビューしました。​それに​伴い​カメラの​デザインを​一新する​ため、​デザインチームと​エンジニアリングチームが​愛情を​込めて​設計に​取り組み、​その​努力が​成果に​つながったのです。

Google Pixel 6 / 6 Pro で​登場した​カメラバーは、​Google Pixel スマホの​特徴的な​デザインと​なりました。​今では​ Google Pixel と​言えば、​スマートフォンの​背面横幅​いっぱいに​広がる​滑らかな​カメラバーを​思い浮かべる​人も​多いのではないでしょうか。​しかし、​Google Pixel の​カメラセンサーと​レンズ用に​設けられていた​従来の​四角い​カメラユニットから、​カメラバーに​変更する​ことは​大きな​挑戦であり、​成功させるには​多くの​コラボレーションや​実験が​必要でした。​Google Pixel の​カメラバーを​設計するに​あたり、​担当チームは​どのように​取り組み、​いかに​して継続的な​改善を​加えているのでしょうか。

デザインと​設計の​試行錯誤で​生まれた​ Google Pixel カメラバー

Google Pixel 6 の​開発チームは、​新しい​カメラの​搭載を​大きな​目標と​して​掲げていました。​チームが​目指す​画質を​実現するには、​より​多くの​光を​取り込む機構と​より​大きな​レンズが​求められます。​しかし、​レンズを​大きく​した​結果​スマホが​大きくなってしまう​ことは​避けたいと​考えました。

「Google Pixel 5 では、​全ての​センサーが​小さな​正方形の​中に​まと​まっていました。​しかし​カメラが​大幅に​改良され、​センサーや​レンズと​いった​部品が​これまでの​正方形には​収まらない​大きさと​なった​ことから、​我々は​カメラ性能と​最新の​技術が​表せる​何か​新しい​解決作を​探りました」と、​デザイナーの​サンスー パークは​話します。​「スマホ自体を​大きく​せず、​全ての​機能を​本体に​収めて合理化した​状態を​維持できる​ものを​作りたかったのです」

加えて、​Google Pixel 6 の​大きな​レンズが​突き出てしまう​ことで、​画面を​上に​して​置いた​ときに​スマホの​バランスが​崩れてしまう​ことも​望ましく​ありません。​さらに、​Google Pixel 6 Pro の​ことも​考える​必要が​ありました。​「Google Pixel 6 Pro には、​Google Pixel シリーズの​スマホで​初めて​メイン、​超広角、​望遠と​いう​ 3 つの​背面カメラを​搭載する​ことにしました」と、​Google Pixel プロダクト マネージャーの​ステファニー スコットは​話します。​「より​創造性の​ある​写真を​撮れるよう、​遠くの​被写体を​撮る​望遠機能と、​近くの​被写体を​大きく​撮る​超広角機能の​両方を​提供したかったのです」

デザインチームも​エンジニアリングチームも、​新たな​挑戦を​する​ことを​覚悟したのです。​「我々は、​これまでとは​全く​異なる、​見たこともないような​カメラデザインに​一新したいと​考えていました。​カメラシステム全体の​配置を​変えるのは​大きな​挑戦です。​そして​それには​多大な​努力が​必要です」と​サンスー パークは​話します。

デザイナーチームは、​新しい​カメラデザインを​大胆で​目立つような​ものに​するとともに、​丸みを​帯びた​柔らかな​印象の​スマホ本体に​調和するような​ものに​したいと​考えました。​「新しい​カメラシステムを​収納する​ため、​非常に​精密に​形を​整えた​金属製の​枠組みを​作りました。​カメラガラスは、​新しい​カメラの​レンズや​センサーを​ 1 つの​カメラバーに​まとめ、​シンプルで​機能的な、​かつ​見た​目が​すっきりした​デザインに​仕上がりました」と​サンスー パーク。

ただ、​物理的に​全てを​組み合わせるのは​そこまで​簡単では​ありませんでした。​「特に​大きな​課題と​なったのは、​『隠れた』制約が​いくつも​存在した​ことです」と、​スコットは​明かします。​「エンジニアの​中には、​デザインを​作る​過程で​空いている​箇所を​埋めていった​ところが​パズルゲームの​テトリスに​似ていたと​話した​人も​いました。​個人的には、​この​デザインは​とても​相互依存していたので、​むしろチェスのようだと​感じました」と​スコット。

例えば、メインカメラと超広角カメラはどこにでも配置できるわけではありません。ポートレートモードなどの機能を使うには、隣り合わせに配置させなくてはならないのです。しかし最終的には、複数のチームが協力して製造上の課題に取り組み、これまで見たことのないカメラデザインが誕生しました。

また、​カメラバーと​いう​名前は、​自然と​付けられました。​スコットは​「(スマホなどで​ Web 検索する​際の)​『検索バー』に​ちなんだ​ものです」と​言います。

Google Pixel カメラバーの​変遷

Google Pixel の​カメラバーは​最初の​リリース以来、​改良を​続けています。​「Google Pixel 6 から​ Google Pixel 7 に​かけて、​カメラバーの​デザインを​さらに​洗練させて​カメラを​より​強調したいと​考えました」と、​デザイナーの​ジェウン パークは​話します。​これは、​カメラバーと​金属フレームを​より​滑らかに​統合する​ことで​実現しました。​「液体金属の​表面から​インスピレーションを​得て、​この​外観と​なりました」と​ジェウン パーク。​Google Pixel 7 / 7 Pro の​カメラバーは、​Google の​ UI である​ ​「Material You」にも​見られる​楕円形と​円形の​形状で​カメラを​囲み、​ソフトウェアと​ハードウェアに​一体感を​もたら​しています。

Google 初の​折りたたみスマホである​ Google Pixel Fold 用の​カメラバーも​用意しました。​これも​創造性が​試される​分野です。​「Google Pixel Fold 用の​カメラバーを​作るには、​社内の​デザインに​関する​考え方を​さらに​飛躍させる​必要が​ありました。​全く​新しい​構造で​カメラバーを​デザインする​ことになったのです」と、​Google Pixel カメラの​プロダクトマネージャーである​アイザック レイノルズは​説明します。

Google Pixel Fold には​ヒンジ​(折り曲げる​ための​部品)が​あり、​2 つの​ディスプレイと、​ほかの​ Google Pixel シリーズの​スマホとは​異なる​デザインの​カメラバーが​付いています。​「Google Pixel Fold には​独自の​形状が​あり、​その​ユニークな​形状に​合わせた​カメラバーを​取り入れたいと​考えました。​これまでに​やってきた​カメラバーの​デザインを​単純に​再現するのではなく、​ヒンジが​もたらす非対称の​形状と​連動する​カメラの​デザインを​細かい​ところまで​洗練させ、​最適化したかったのです」と​サンスー パークは​話します。

複数の​選択肢を​検討した​結果、​Google Pixel 7 Pro のように​本体の​端から​端まで​横断した​ものではなく、​本体内に​収まる​カメラバーを​採用しました。​これは​構造的にも​美的にも​最適な​選択でした。​「保護ケースを​さらに​しっかりと​固定する​優れた​構造に​なっています。​また、​ヒンジと​筐体​(きょうたい)の​間の​スペースも​ちょうど​良く、​視覚的に​もう​まく​バランスが​取れています」と​サンスー パーク。​「この​方法で、​全てがより​調和の​取れた​状態に​なりました」

Google Pixel Fold は、高解像度のメインセンサーや優れた超広角センサー、光学 5 倍ズームを実現する望遠レンズを搭載しています。また、低照度設定にも対応する必要があったほか、開いた状態の Google Pixel Fold は Google Pixel 7 Pro よりも薄いため、こうした性能の全てをより小さなスペースで実現する必要がありました。「機能を詰め込むには、スペースがあらゆる面で小さく、全く余裕がありませんでした。それでも、我々のニーズを把握している社内のデザインチームとエンジニアリングチームのおかげで、やり遂げることができたのです」とレイノルズは語ります。

Google Pixel の​カメラバーを​改良するに​つれ、​何が​できるのか、​どのように​機能するのか、​どのように​見えるのかが​変化してきました。​とは​いえ、​カメラバーが​ Google Pixel おなじみの​要素と​なった​ことは​事実です。​「カメラバーは​ Google Pixel の​象徴と​なったのです」と​ジェウン パークは​述べています。

この記事のポイント
Google Pixel 6 で初登場したカメラバーは、本体背面のカメラ部分に横長のバーのようなデザインを施したものです。複数のチームが協力して課題に取り組み、カメラバーという全く新鮮なデザインが誕生しました。カメラバーは登場以来、シリーズの特徴として改良を続けています。
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